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未来人さま ~タイトルで損した『21世紀の国富論』~

 

毎度、「待って」いただいてありがとうございます。

 前回、予告したことについて書きます。

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 私のみならず、多くの人がどうやら『21世紀の国富論』というタイトルが誤解を生みやすいことによるのか、この書名を見て実際に手に取る行為にまで至らなかった例がとても多かったことを未来人さんの話で知りました。

 これはどうも「21世紀の」と大事なことわり書きをしていながらも、多くの人が「国富論」という聞きなれた言葉にイメージが引きずられてしまったことによるのではないかと思います。

 私たちが「国富論」という言葉を聞くと誰もがアダム・スミスのそれを思い浮かべますが同時に、「国民経済学」をベースにした国家論をなんとなく思い浮かべているような気がします。
 これは当然なことなのですが、現代の私たちは、経済知識の有無にかかわりなく、なんとなくこの経済観は古いものと感じるようになっているのではないでしょうか。

 私は漠然としたイメージで「国民経済学」という表現を使ってしまいましたが、主に産業革命以来の近代資本主義は、鉄鋼や石炭、石油などの資源や鉄道、運輸、通信などの基幹産業のインフラ部分を国家をあげて育成してきたベースの上に成り立っています。

 これは資本主義社会の生成発展期において、不可欠のプロセスではありますが、成熟から衰退か、あるいはなんらかの次の枠組みへの移行が始まっている現代においては、このような産業社会をベースに考えることは既にできなくなっているのを感じます。

 現代社会でおきている経済活動の多くは、かつてのイメージのような国民経済の枠で語れるようなもは、いつの間にか限られたものになってしまっています。
 すでに国家の枠を超えたもの、あるいは国家の規制にとらわれないもので新しい動きがたくさん出ているところに私たちはリアリティーを感じています。

 国富論という言葉の延長で想像される社会的富の蓄積は、もちろんいまでも国家の規制は受けながらも、かつてとは比べものにならないくらいグローバルに、またあるときにはミクロのままでも鋭く世界をかけぬけ、ダイナミックに動きまわるもののイメージが出来上がっています。

 大きな政府であろうが小さな政府であろうが、今、わたしたちの周りで進行している経済活動は、国家と一体とは言い切れないたくさんの中央からはコントロールし難い産業によって支えられています。

 
 そうした飛躍があるからこそ原丈人さんは、「21世紀の」という言葉を頭につけた「国富論」が提起されたのだと思うのですが、わたしたちに「21世紀の」というだけの表現からそこまでの想像をはたらかせることは、やはり内容の予測のつかない読者にはかなり無理のあることであったのではないかと思えます。

 社会的「富」の蓄積という問題が、アダム・スミスのイメージした国民経済をベースにしか考えられない時代はすでに終わっています。
 そして生活からかけはなれた莫大な金融的富の蓄積の矛盾は、ようやくいま暴露されましたが、かといって、それに替わる社会的「富」の蓄積をどこに求めるのかという問いへ答えはまだ見えていません。

 この問題解決の手がかりを『21世紀の国富論』は、たくさん示してくれているのですが、このタイトル表現からそこまで想像することは、やはり至難のわざだったのではないでしょうか。

 今、思うと、このギャップを埋める作業、従来の国民経済学からの脱却、国家の役割は残しつつも、国家に依存しない社会システムの拡大、あるいは狭義の社会資本からソフト面や地域風習まで含めた広義の社会資本の提起こそ、この本の大事な主題にもなっていると思えるのです。

 こうした表現にすることしかできなかったことも、異なる場で発表したものを1冊にまとめた構成であることなど、やむを得なかったことも十分想像されるのですが、

だからこそ、

こうした対話が、とても重要な作業になってくるのだと思います。

 このことをはじめに書いて、ようやく各論に入っていけるような気がしました。
 こうした前提でこれからmiraijinさんと少しずつ掘り下げてみたいと思います。

 

 それではまた。

                     かみつけ岩坊より

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