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岩坊さま 〜「次元」と「普遍化」について(序)〜

岩坊さんが、そちらでは見ることのできないとおっしゃっていた朝日新聞の夕刊、「たまには手紙で」という「往復書簡」の連載を私が始めて見たのは東京に戻って来た1昨年でした。たしか、その時の筆者が水村美苗さんでお相手は辻邦生さんだったと記憶しています。もしかしたらこの連載の往復書簡ではなく別枠での連載だったのかもしれないのですが。ちなみに火曜日夕刊の現在時の連載は俳優の橋爪功さんと劇作家・演出家の野田秀樹さん、その前はマラソンの増田明美さんと俳句の黛まどかさんでした。
さて、水村さんの文章には、どこか少し儚げな透明感を漂わせながらクリスタルのような硬質な印象を持ったのを憶えています。
水村美苗著『日本語が亡びるとき』は、昨年書評を見た時から気になりつつ、新聞広告をみてさらに気になりつつ、しかしどうにも切ないものを感じてまだ手を伸ばしておりませんでしたが。。。
しかし常日頃、先入観や勝手な印象で物事をとらえてしまう罠には気をつけましょうと言っている身としては、岩坊さんの一押しがやはり「読みましょう」のサインだったのですね。つい先日、入手いたしました。そして思いのほか軽快なエッセイのような書き出しに驚きつつ、私にしては珍しくまだ一気に読んでいません。多分、出だしの軽快さの割りには、中盤以降の筆者からみた歴史的見解の重みとその考察に警戒心(?)が働いているのかもしれません。
実は数日前にここまで書いて、打つ手が止まってしまいました。何故だろう?そこで私はいったい何に焦点をあててこの書簡をお返しすればいいかのヒントを得るために、今日改めて岩坊さんの書簡を再読してみました。
私はこの往復書簡の意味は、「対話」をすることに重きを置かずにそれぞれの思考のプロセスが並列に書き表されて行くことの面白さだと思っていて、それは今この瞬間も変わらないのですが。。。でも、岩坊さんの文中の以下のパラグラフに目が行った時、ああ、私がこの本を手にとることを逡巡したり、警戒心(?)と上記したことの意味がここにあったと気がつきました。
iwabou-san wrote:
私の話は、いつも次元の違う概念が交錯してすみませんが、前回触れた「国民経済学」の実態が把握しにくくなった現代、虚構の上になりたったグローバル化が加速した現代において、これからの社会を考える上では、「普遍化」への一方通行のベクトルから、いかに「個別性」と「特殊性」を保持した発想、あるいは意思をもって「普遍化」のベクトルを押しとどめて、個別・具体性を強化することが、とても難しいことですがこれからの時代は極めて大事なことであると思うのです。

そうなんです。「次元の違う概念」のところに、私が書評を読んで「読むのが切ない」と感じてしまったことを、この言葉が言い表しているように感じられたのです。それは多分、この本の著者の「心の叫び」に添いつつ同時に同じく著者の「思考のプロセス」に付き合う辛さとでも言いましょうか。。。わかりにくい書き方をしていますね。でも今なら書評を読んだ時に感じたことを、文字で書き表せる気がします。ひとことで言うと、多分この本には共感する読者と批判的な読者が拮抗するだろうなという予感です。それは水村さんが小説家である故に、「思考・表現する言葉としての日本語を残す、残したいとする情緒」と、「普遍語としての言葉の流通に対する懸念」のどちらに読者が感応して読むか、ということかもしれません。
そうなってくると書きたいことがいっぱい出てきます!「言葉の覇権」というものが、過去の歴史の「国家の権力」と、現在そして未来に向けての「グローバリズムという言葉に代表される経済の覇権」とについてという切り口もあれば、「話し言葉」と「書き言葉」に関しての精神文化論、言葉を「説明のための意味」と捉えるか「認識を生成していくための貴重な道具」と捉えるか等々。
特に今、私がテーマにしたいとしたらまず、前回の岩坊さんのタイトルでもある「普遍化」という言葉の持つ意味性なのです。書き始めたら、やはり思いのほか長くなりました。今日はここで一旦止めることにします。

それではまた

mireijinより

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